地のし(縮絨)の必要性

<地のし(縮絨)>
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以前にも一度アップさせて頂いた作業ですが、もう少し詳しくとのご要望を頂きましたので、再度アップ致します。
先日、ご注文頂いた御幸毛織のジャケット生地ですが、サンプル(パンチブック)でお選び頂きましたので、本日、当店に到着いたしました。当店では裁断前に必ず地のし(縮絨)と言う作業を店内で私達が行います。まず、画像の様に生地に霧吹きで水をかけ、十分生地に水分を含ませます。


<高温のアイロンで熱を加えます>
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水分を含ませた後は、アイロンで熱を加えて水分と蒸気を吸い込ませ生地を無理しない様に狂わします。
アイロンは洋服仕立て用の工業用アイロンではなく、シンプル機能の家庭用で行います。工業用より蒸気量も豊富ですからこちらの方が地のしには向いております。


<地のし前>
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この様にミミ(生地の名前が入っている黄色い部分)を揃えます。もちろん柄を表裏合わせるのが目的ですから、メーカーによっては揃わない時もありますが…。最近の生地は織機の精度もよくなっておりますので、ミミが揃わない生地は少なくなりました。


<地のし後>
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先ほどの上記の作業を終えますと、片側でこれ位(約7ミリ位)縮みます。今回の生地はウールとリネンのジャケット生地です標準的な方です。この後少し熱が冷めますと2ミリ位戻りましたが、この作業の必要性はお分かり頂けたでしょうか?
この作業を経て裁断することで、狂いの少ない服への第一歩となります。洋服は着用していると、雨や湿気にさらされる事も多々あります。この作業が無いと衿がピリ付いたり、フロントが反り返ったり、ズボンで言えば股下が短かくなってしまったりと不具合も出てしまうことがあります。
地のしは時間もかかりますが、これはオーダースーツを製作する側の責任でもあります。生地と向き合いながら、縮み量を判断して、袖や肩のイセ量(膨らみ量)も考えます。また、生地に織り傷が無いかも確認します。
当店ではどの縫製グレードをお選び頂きましても必ずこの作業は行っております。地味な作業ですが非常に大切な工程だと考えております。

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