約100年前のコートの修理

<トンビコート>
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トンビと言われる和装用コートです。着物の上から着用出来るように設計されており袖が無いのが特徴で、その代わりにマントが付いております。
こちらのコートは当店の創業者である、紀州本義男が修行中に製作したコートですよ。とお客様にお教え頂きました。このコートをお持ち頂いているお客様のお宅とは当店の創業時からのお付き合いで、今では3代目さんにご注文を頂いております。本当に長きに渡りご愛顧頂き、深く感謝しております。おじいさんから、お孫さんへ引き継がれる洋服は珍しと思い記事にさせて頂きました。
衿には、日本カワウソの皮が取付られていたそうですが、傷んでしまい、処分されてしまったみたいです。


<裏地にもこだわり>
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当時のコートの裏地は絹裏地を使用しております。主として新潟にあった「越後サベリ」という会社から仕入れていた
ようで、非常に古いコートを見ると時々この裏地に出会う事があります。今ではコストも掛かり過ぎることから、戦後しばらくして無くなったようです。しかし、約1世紀に渡り持ちこたえ、耐久力もさることながら、先人達の洋服に対する思いを感じとれます。


<裏地の補修>
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長年の着用から起こるスレにより、今回は補修の修理をお預かりさせて頂きました。切継ぎで補修しております。


<ボタン>
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凝った包みボタンです。


<全体の感じ>
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着物生活の上から着用出来るように考えられたトンビコートは、昔はポピュラーなアイテムとしてテーラーはみんな作っておりました。今でもごく稀にご注文頂く事がありますが、型紙を製作出来るテーラーも少なくなり、縫い上げる職人さんも少なくなっているのが現状です。このコートには様々なヒントが隠されており、今後の洋服の製作の参考になる事がたくさんあり、非常に良い機会をお客様に与えて頂きましたことを、感謝しております。私は、インバネスコートや大和コートは製作させて頂いた事があります。日本人が着物生活をしなくなり、一つの服装文化が変化しておりますが、先人の技術や思いをしっかりと受け止め、現代に通用するデザインや機能を備え、今後も洋服作りを継承していくことが、テーラーとしての使命と思って、精進したいと思います。

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